
メインのシンポジストの議論も、参加者の意見も含め、それぞれの主張や考え方の多様性が感じられる、ある意味でスリリングな本でした。
「シンポジウムで議論する東アジア的シティズンシップ育成の場が学校教育である以上、公教育の中で東アジアというトランスナショナルなシティズンシップ教育を論じる可能性と限界を再認識する必要がある。」(p.47.)
この指摘の意味を絶えず考えさせられる本でした。
併せて、「「境界(垣根)」の正当性を問い続けることによるシティズンシップ(市民性)育成」(p.106.)の話では、現代の国民国家の境界を巡る排除性やその正当性を吟味し続ける意味を再確認できます。同時に、国民国家の法的な権利体系だけには回収されないような、オルタナティブな関係性やメンバーシップの論理をどのように見出していけるか、という点を考える機会にもなりました。