読書メモ

中山徹他(2025)『少子化に立ち向かう自治体の子育て政策』自治体研究社. 

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2025年現在の先進的な自治体の子育て政策が事例として紹介されています。
現状の少子化政策、とりわけ「異次元の少子化政策」への批判的検討をする形で前半の論が進んでいきます。例えば、財源の集め方に関して批判を加え、「子育て支援に係る財源は、国民負担や社会保障の歳出削減によって確保するのではなく、企業の内部留保に課税し確保すべきです」(p.31.)と述べています。

「子育てしやすい地域かどうかは、子育て政策だけで決まりません。特に、子育て世代がその 地域で安定的に働くことができるかどうかが重要です。地域経済政策の場合、どのような政策展開が子育て支援という点からみて効果的かを考える必要があります。子育てしやすい地域に繋がるようにしなければなりませんが、その具体的な内容を考えるのも市町村の役割です。」(p.33.)とあるように、子育て政策に特化しない幅広い論点を挙げています。

「国が15歳まで所得制限なしで医療費助成を保障すべきか。」の論点は、地方自治体の役割と国の役割を考えたり、保険制度のあり方を考える上で重要な論点になりそうな気もします。

他にも、自治体が独自にやることが効果的な政策や分野もある一方で、それは本来国が取り組むべき課題ではないか?という問いが多く含まれていて(例:保育士の賃金引上げ)、少子化の裏テーマとして、地方と国の関係を考えることができる内容になっています。

また、地域経済政策を展開する上で、自治体が人材確保を望んでいる地元事業者と協力して、地域で働く場と人材を確保するべきことが指摘されてもいます。

大阪の府立高校や東京都の保育料など、複数の箇所で、公立教育機関の民営化が進むことへの懸念が示されています。

明石市の例に関しては、「明石市は子ども施策だけに特化しているわけではありません。」として、「やさしいまちづくり」についての紹介がなされています(p.85.)。これは前に湯浅誠・泉房穂他(2019)「子どもが増えた! 明石市 人口増・税収増の自治体経営』光文社新書. を読んだときにも感じた点ですが、インクルーシブなまちづくりと少子化政策の繋がりを実感できる内容となっています。

明石市と世田谷区の事例では、子ども会議(明石市)や子ども条例検討プロジェクト(世田谷区)をはじめ、子ども・若者の声を政策提案につなげる取り組みが複数紹介されています。社会参加や社会課題解決を志向する社会科学習や総合学習の可能性を論じる上でも、常に念頭に置く必要のある動向のように感じます。

また、長野県の阿智高校の事例も紹介されています。地域政策を学ぶコース選択に加えて、自治体の財政支援による公設塾が紹介されており、進学実績の向上と、地元就職者の増加の両方を目指す学校運営のあり方は、今も増えつつありますし、注目されていくように思いました。

北海道の訓子府町の例は、児童センター・児童館の例を含め、共働きの家族が無理なく子育てできる地域の施設やサービスのあり方を改めて知ることができる内容でした。児童センター「ゆめゆめ館」では、共働きなど放課後留守家庭となる児童(児童クラブ児童)と、自由に来館して施設を利用する児童(自由来館児童)が一緒に利用する施設(p.158.)だとされます。この運営主体や職員の形態にともなう難しさについては、今後も学んでいきたいなと思います。

勉強になりました。

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