読書メモ

増田寛也(2014)『地方消滅:東京一極集中が招く人口急減 」中公新書.

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センセーショナルな内容ですが、日本の急激な人口減少、都市と地方の変化する未来を、大胆に描いた本です。

2010年から14年にかけての「20~39歳に女性人口」の減少に、「自然増減」と「社会増減」のいずれが影響しているかを分析してみると、日本のほぼ全域にわたって「自然減」が見込まれるのに対し、「社会増減」は地域によって大きなばらつきが見られる。東京都区部は約三割、大阪市、名古屋市や約一割、福岡市は約二割と、大都市圏ではおおむね「社会増」となっているが、それ以外の地方圏ではほとんどの市町村で、最大8割以上といった大幅な「社会減」が見込まれるのである。こういった姿は、まるで東京圏をはじめとする大都市圏に日本全体の人口が吸い取られ、地方が消滅していくかのようである。その結果現れるのは、大都市圏という限られた地域に人びとが凝集し、高密度の中で生活している社会である。これを我々は「極点社会」と名付けた。(pp.31-32.)

このような吸い取りの状況を、「人口のブラックホール現象」(p,33,)とも呼ばれています。

このような東京一極集中に歯止めをかけるために、「防衛・反転線」の構築が主張されています。具体的には、地方中核都市を地方の中核としながら、「選択と集中」の考えを徹底しながら、地域資源の再配置や地域間の機能分担と連携を進めていく、ということになります(p.50.)。

この「選択と集中」と「防衛・反転線の構築」の話は、論争を生み出しました。

その解釈の是非はともかく、進みゆく未来像がそれなりにリアルに語られており、読んでいて引き込まれる部分はありました。この本をきっかけに、反面教師で頑張っている地方の自治体があるとも聞きます。

印象に残った点をいくつかメモします。

一つは、「高齢者がいなくなり行き詰まる地方」(p.145.)を描いている点です。地方における少子化と同時に進行する高齢者人口の減少により、高齢者を支える産業における消費が低下していく、という話が出ています。「地方で最も大きなキャッシュフローは、実は年金ですから」(p.145.)という表現には考えさせられる点も多かったです。地方の若者の雇用の場である医療・介護関連業界の衰退が、地方の雇用事情に大きなインパクトを与えることが予測されています。

もう一つは、日本のトップ企業の七割が東京に本社を構える状況を「世界から見れば異様」(p.154.)だと述べている点です。また、「なぜ企業の本社が地価も物価も人件費も高い東京に集まるのか、その理由ははっきりとわかっていない」(p.203.)とも述べる。本書でも集積効果の説を挙げてはいますが、他国の主要都市との違いを説明しきれていない点は課題に挙げられており、個人的にもこの点は理解を深めたいところだと思いました。

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