読書メモ

垣内国光・岩田美香・板倉香子・井原哲人・宮地さつき編(2026)『子ども家庭福祉:よりそう・とらえる・考える:社会のなかの子どもと家族』生活書院.

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子どもを取り巻く家庭福祉について、論じた本です。色々と勉強になりました。
私自身の関心に引き付けていくつか感想を残しておきます。

第一に、社会保障教育という観点から考えると、子どもの権利や子ども福祉制度、子どもの貧困などを扱った3〜8章はまさに直結する話だと思いました。また、保育・学童(8章)や障害(10章)、ひとり親家族(13章)の論点も接点が濃いなと感じます。「人生前半の社会保障」(広井良典先生)の視点のように、生存権や社会権、そして子供の権利を有する子どもたちが、尊重された形で生活を送るには、どういう制度や支援が必要かという点は非常に重要な視点だと再認識できます。

日本型福祉社会論が典型的なように、子育てを家族の問題だと思っている認識はまだ日本社会にも残ってるように思います。そういう意味でも、子ども時代の生活保障が社会や国家の責任なのだという本書の視点やメッセージには共感しています。

第二に、生活科教育の視点から読んでも、本書は多くの示唆がありました。生活科では、まさしく「生活」を扱うわけなのですが、本書を読むと、例えば小学1~2年生を取り巻く「生活」「家庭」「地域」にも大きな格差があることが再認識できます。この視点を拡張したとき、「目の前の子どもたちにとっての生活とはどういう状況なのか」という視点が、生活科の実践を考える上で本質的な論点になろうかと思うのです。だからこそ、個人的には、大学の生活科教育法で子どもの貧困も扱うべきだと思いますし、9章にある児童館の実態などについても、そしてその背後にあるテレビ/オンラインゲームやSNSの状況についても、扱うべきだと私自身は感じています。そういう意味でも、本書のデータや事例から触発される点が多かったです。

第三に、法教育の観点との関わりでも触発される点が多かったです。たとえば、9章、11章、12章、14章などがそれにかかわるかと思いますが、子どもを守る法整備を社会科教育/公民科教育で扱う必要性について考えさせられます。私の認識にはなってしまいますが、例えば少年法を扱った社会科の授業事例はまだ多くありません。また、子どもが犯罪や暴力にさらされうることを可視化した形で、それを守る法律の論争点を議論するような例は、あまり多くないと思います。それには様々な事があるとは思いますが、子どもと法の関わりを子どもの目線で考えるとは何を意味するのか、考えさせられました。同時に、子どもの福祉を守る法整備のあり方は、本来は社会保障とも地続きになるような話だとも感じました。

また、『21世紀の社会契約』に出てくる「共同養育」の概念は、12章の「社会的擁護」の話とも関連する形で捉え得ると本書を読んで感じています。「子どもを社会で養育する」という理念の射程の広さを改めて考えていきたいです。

勉強になりました。

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