
本書で紹介されている「スマートシュリンク」とは、「人口減少を所与として、人口が減っても人々のウェルビーイングが損なわれないような地域を目指そうという考え方である。」(p.114.)とされます。
個人的にはこの考え方を詳しく知りたくて本書を読んだのですが、本格的にその考えの根拠や構想が語られたのが5章からで、もう少し詳細に知りたいな、という感触もありました。
ともあれ、「人口が減っても経済が縮むとは限らない」(p.149.)の立場に立ち、短い紙面で明快に論じています。
紹介されいているフューチャーデザインは授業作りにも活かせそう(現に生かしている人がいる)な気がしますし、本書で紹介されているサスティナビリティ問題(=「現在は支障が無くても、その状態を続けていると将来弊害が大きくなるような問題」(p.141.))を将来世代の視点から考えていく発想は、重要だと思います。
人口が減っても経済が縮まない理由は簡単だ。経済の規模を決める要因には、所得、 技術進歩、生産性、輸出、人々の好みなど多くのものがあり、人口要因はそのうちの一 つに過ぎないからだ。人口要因がマイナスに作用しても、それ以外の要因がプラスに作用することによって、人口のマイナス要因は比較的簡単に打ち消すことができるのである。にもかかわらず、「人口減少によって経済が縮む」と考える人が多いのはなぜだろうか。これには、次のような錯覚があるのではない.。一つは「確実なものは不確実なものより大きく見える」という錯覚だ。(p.150.)
このように、今後の展望を少し楽観的に論じている点が特徴のように思いました。
また、スマートシュリンクを進める上で、「集積の利益」を人口減少地域において確保できるかどうかが論点となっており、いわゆるスマートシティのような考え方はもちろん、「自由な人の移動」を活発化するように促すべきと論じられています。
また、「地域創生2.0」の考えも、スマート・シュリンクの発想として紹介されています。