教材研究メモ

公民的分野の教材研究メモ

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日々の読書をして読書メモを取った本の中で、教材研究に活かせそうな本をリストアップしています。(紹介しているのは通読した本に限っています。)
カテゴリーは絶えず修正し続けると思います。
本の下の紹介文は、社会科の教材研究の視点から役立つように意識して書いています。(まだ作成途中です)


政治分野全般
宇野重規(2022)『民主主義とは何か』講談社現代新書.
→「民主主義」という言葉の多義性、歴史的な変遷を理解する上でよい本。何の気なしに使っている「民主主義」の語を捉えなおさせてくれます。
宇野重規(2022)『そもそも民主主義ってなんですか?』東京新聞.
→上の『民主主義とは何か』をより読みやすく、現代的関心に引き付けた本。
山本昭宏 (2021)『戦後民主主義—現代日本を創った思想と文化—』中公新書.
→戦後日本の中で「民主主義」がどう語られ変容していたか。平和主義などとの関わりの中で考える意味でもよい本。
将棋基貴己(2021)『従順さのどこがいけないのか』ちくまプリマ―新書.
→日常生活の中にある、権威やそれに対して服従しがちな私たちの心理を事例にあげながら、政治とは何かを説明した本。政治を身近に感じさせる良書。
新藤宗幸(2008)『新版 行政ってなんだろう』岩波ジュニア新書.

人権、憲法関連
松元雅和(2013)『平和主義とは何か―政治哲学で考える戦争と平和―』中公新書.
→「愛する人が襲われたら」から始まる本で、各章に問いが明示されていて刺激的。平和主義に関する異なる立場や解釈が分かり、参考になります。
齋藤純一(2000)『公共性』岩波書店.
→多様な考え方や立場の人々が共に生きることの意味を考える上で大切な本。公共性、公共圏、親密圏など。集団や人の集まりのあり方を考える上で良書。
岡野八代(2009)『増補版 シティズンシップの政治学―国民・国家主義批判』白澤社.
→特定の人々の権利が軽視され排除されがちな社会構造を問い直す上でよい本。外国人の権利、フェミニズム、ケア等を経由し、多様な視点で考えられます。
大屋雄裕(2007)『自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅』ちくま新書.
→安全を意識した監視カメラが街中に増加し、個人の選好を確率的に処理し誘導するAmazonなどのシステムが普及する中、私たちの「自由」を再考できる本。 
南川文里(2021)『未完の多文化主義―アメリカにおける人種、国家、多様性―』東京大学出版会.
→アメリカでなぜ「多文化主義」が衰退したのかを考察した本。アファーマティブアクションの事例の賛否、多文化主義が解体される過程などを詳述した本。
高賛侑(2010)『ルポ 在日外国人』集英社新書.
→日本における在日外国人に関する概説的な情報を知るうえで良い本。
山川 徹(2019)『国境を越えたスクラム―ラグビー日本代表になった外国人選手たち―』中央公論新社.
→ラグビー選手のエピソードを通して、日本の多文化共生やアイデンティティ、エスニシティなどを考えられる本です。
田中宏(2013)『在日外国人 第三版-法の壁、心の壁-』岩波新書.
→戦前戦後の日本における在外外国人に関わる歴史や論点が一冊に凝縮されており、著者の個人的な体験や関わった裁判事例などを豊富に示しつつ、歴史的背景や制度的問題点なども併せて紹介されています。
清水睦美・児島明編著(2006)『外国人のためのカリキュラム―学校文化の変革の可能性を探る―』嵯峨野書院.
→外国人生徒が学年の1割程度を占めた神奈川県大和市の下福田中学校における実践が描かれています。同時に、関係者の声の詳細な語り、一人ひとりの痛みや葛藤が詳しく描かれた本です。
中山京子・東優也他(2020)『「人種」「民族」をどう教えるか―創られた概念の解体をめざして―』明石書店.
→人種に焦点を当てた授業実践、本質主義的な人種観を乗り越える授業実践の提案、構想などを数多く紹介しています。
ジェラード・ディランディ著:山之内靖・伊藤茂訳(2007)『コミュニティ―グローバル化の社会理論と変容-』
→本書では、コミュニティのとらえ方がどの歴史的にどのように変化しつつ、現代において多様化しているのかを知るうえで良い本。グローバル化の進む現在における、コミュニティの可能性や意義が強調されています。
木村元編著(2020)『境界線の学校史-戦後日本の学校化社会の周縁と周辺-』東京大学出版会.
→戦後の日本が、「学校化社会」として形成・成立していく中で、結果として、学校から排除される人々が顕在化していくことなどが示されています。
呉永鎬(2019)『朝鮮学校の教育史-脱植民地化への闘争と創造-』明石書店.
→朝鮮学校の教育史を「教える側と学ぶ側のやりとり」「そのことをとおしたペタゴジーの変容の繰り返しの軌跡」に注目して叙述した本です。自分たちの民族教育を行いたいという試みを、日本社会・政府の暴力的な対応によって様々に妨害されながらも、創造的解決を図っていく。そのプロセスが教育実践レベルでよくわかります。
セイラ・ベンハビブ著:向山恭一訳『他者の権利-外国人・居留民・市民-』法政大学出版局(2006年訳、2014年新装版)。
内藤正典(2020)『イスラームからヨーロッパをみる:社会の深層で何が起きているのか』岩波新書.


経済分野一般
ヤニス・バルファキス著:関美和訳(2019)『父が娘に語る経済の話。』ダイヤモンド社.
高井浩章(2018)『おカネの教室:僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』インプレス.
榎本篤史(2017)『すごい立地戦略:街はビジネスヒントの宝庫だった』PHPビジネス新書.
小島寛之(2017)『使える!経済学の考え方-みんなをより幸せにするための論理-』ちくま新書.
坂東俊矢・細川幸一(2014)『18歳から考える消費者と法(第2版)』法律文化社.
→日本の消費者法に関わるトラブル事例、判例が体的に紹介がなされており、読者に問いかけてくる文章もあり、読みやすいです。現状の消費者法の問題点への指摘も複数あり、消費者法を取り巻く構図を理解するのによい本。
佐々木実(2022)『今を生きる思想:宇沢弘文:新たなる資本主義の道を求めて』講談社現代新書.

財政・社会保障分野
広井良典(1999)『日本の社会保障』岩波新書.
広田良典(2011)『創造的福祉社会:「成長」後の社会構想と人間・地域・価値』ちくま新書.
広井良典(2006)『持続可能な福祉社会:「もうひとつの日本」の構想』ちくま新書.
酒井正(2020)『日本のセーフティーネット格差:労働市場の変容と社会保険』慶應義塾大学出版会.
稲葉剛(2013)『生活保護から考える』岩波新書.
島崎謙治(2015)『医療政策を問いなおす: 国民皆保険の将来』ちくま新書
岩田正美(2021)『生活保護解体論』岩波書店.
日本経済新聞社(2020)『無駄だらけの社会保障』日本経済新聞出版.
宮本みち子・佐藤洋作・宮本太郎編著(2021)『アンダークラス化する若者たち:生活保障をどう立て直すか』明石書店.
→若者にむけた社会保障制度、生活保障制度という視点から、現在の日本の制度的・実務的な実態や、国際比較的な動向、提言などを論じている。若者向けの社会保障制度について考える上で、ぜひ読みたい本。
両角達平(2021)『若者からはじまる民主主義:スウェーデンの若者政策』萌文社.
井手英策(2017)『財政から読み解く日本社会―君たちの未来のためにー』岩波ジュニア新書.
→財政とは何か?というテーマを分かりやすく説明してくれている本です。その先に見える日本社会の根っこの部分にも深く切り込み、読者である日本社会の市民自身のあり方に迫ってくるような、良書だと感じました。

環境問題
木原 啓吉(1992)『暮らしの環境を守る:アメニティと住民運動』朝日新聞出版.
吉永明弘(2021)『はじめて学ぶ環境倫理-未来のための「しくみ」を問う』ちくまプリマ―新書.
斎藤幸平(2020)『人新生の「資本論」』集英社新書.
安藤聡彦・林美帆・丹野春香・北川直実編(2021)『公害スタディーズ 悶え、哀しみ、闘い、語りつぐ』ころから株式会社.
澤井余志郎(2013)『ガリ切りの記-生活記録運動と四日市公害-』影書房.

社会問題全般
藤田弘夫(1993)『都市の論理:権力はなぜ都市を必要とするか』中公新書.

国際的・外交関係分野
大沼保昭・江川紹子 (2015)『「歴史認識」とは何か―対立の構図を超えて』中公新書.
飯笹佐代子(2007)『シティズンシップと多文化国家—オーストラリアから読み解く―』日本経済評論社.
小泉悠(2021)『現代ロシアの軍事戦略』ちくま新書.
ブレイディみかこ(2019)『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮社。
塩川伸明(2008)『民族とネイション―ナショナリズムという難問-』岩波新書.
エマニュエル・トッド、池上彰(2023)『問題はロシアより、むしろアメリカだ』朝日新書.
角田将士(2023)『学校で戦争を教えるということー社会科教育は何をなすべきかー』学事出版.
→公民に限って読んでも、「新しい戦争」について、を20世紀的な戦争、中世的な戦争と比較しながら相対化・特徴化していく授業事例が示されています。「戦争と平和」の社会科での扱い方を含め、いくつもの授業例が紹介されています。

法教育的な分野
中平一義編(2020)『法教育の理論と実践-自由で公正な社会の担い手のために―』現代人文社.

倫理的分野
細見和之(1999)『アイデンティティ/他者性』岩波書店.
千葉雅也(2022)『現代思想入門』講談社現代新書.
長谷川宏(2018)『幸福とは何か:ソクラテスからアラン、ラッセルまで』中公新書.
白岩英樹(2023『講義 アメリカの思想と文学:分断を乗り越える「声」を聴く』白水社.
森本あんり(2015)『反知性主義:アメリカが生んだ「熱病」の正体』新潮社.

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