読書メモ

仲村和代・藤田さつき(2019)『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』光文社新書.

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ファストファッションや食品ロスに関わる実態を取材し論じている本です。いくつか新たな気づきがありました。

ファストファッションと聞いたとき、海外の安い労働力の話や、過剰に途上国に輸出される服の山、というイメージがあったのですが、本書で再認識したのは、国内の繊維工業において、技能実習生を過剰に安く働かせていることで、衣服の値段を下げていることです。その実態が詳述されています。工場側もどんどん安くなっていく価格設定の中で、その流れに抗えずに飲み込まれていく様子も垣間見えます。発注価格の「適正化」であったり、「適正化な価格」の重要性が、ここでも指摘されています。

当然ながら消費者側の動きや反応が、販売側にも影響を与えます。それに関して、新しい動きを訴えかける消費者のターゲット層は、マスではなく、意識の高い層だけでもまずは良い、という点が印象に残りました。「消費文化が変わる時、それはいきなりその全てが変わるわけじゃない。レセプター(受容体)を持っている人たちが変われば、変わるんです。」(p.130.)と書かれていました。

その他、適正価格とは何か?という点について詳しく考察が行われています。「1万6800円のパーカーは高いのか?」という項目名があったのですが、これを主題に議論する授業が合ってもよさそうだなと思いました。フェアトレードの事例も考察しつつ、「原価」や手元に届くまでの工程費用の費用に読者の目を向けさせています。本書でも言っていた通り、フェアトレードはすれがスタンダードになることだけじゃなく、それが選択肢の一つになることで、見え方が変わるというインパクトを持っていそうです。

もう一点、最後のあとがきに書かれていた「消費者」「消費」の語の考察が面白かったです。消費というと、まるで食べ尽くしてしまい、何も生み出さない怪獣のようにイメージされがちだけれど、消費は、生産を変える糸口にもなりうるし、十分にクリエイティブになる力を持っている。そういう意味で、消費行動が作り手への意識を自然と伴うものととなり、それが生産の仕組み自体を大きく変えていく、という消費行動の積極性や創造性を感じられる内容でもありました。

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