読書メモ

山内紀幸編著(2022)『探究プロジェクトの最前線:国際バカロレア(PYP)の理論と実践』一藝社.

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IBやPYPの理念を学べるだけでなく、実践事例を読む読み物としても面白かった。
山梨学院幼稚園・小学校にPYPを導入する際の事例を中心としながら、3歳~12歳までの幼児教育・小学校段階のIBのカリキュラムやその運営の工夫や留意点について学ぶことができる本。
幼小のカリキュラムを繋ぎ合わせる仕掛けとして「教科の枠を超えたテーマ」「鍵となる概念」が働いていることが分かるし、一貫した軸はありつつも、小学校になって教科学習の視点が顕在化していく中でのカリキュラムの転換も興味深かった。
印象に残った点について。
1つは、評価の視点や方法が豊富に記載されていて勉強になった。パフォーマンス評価やルーブリック評価、子ども自身の自己評価や相互評価がもちろんのことながら、それらを機能させるための、日々の教員の記録と、評価シートも示されている。プロセスを評価するための日々の教員側の記録の蓄積と、それを生み出す見取りやそこから生まれる支援のサイクルに評価の本質を見たような気がした。
もう1つは、小学校での教科と探究プロジェクトの関係についてである。大まかに時間割があるものの、教科の授業と探究プロジェクトが密接に柔軟に関わっているとされる。とりわけ印象に残ったのは、「スポーツプロジェクト」の中で、1964年の東京オリンピックや戦後復興などをテーマに含みつつ、学習の舞台設定が行われていたことだった。本書の最後の方にも書かれている通り、PYPの探究プロジェクトが、探究的であると同時に、「知的(反省性))」であることを重視している点をこの例からも感じることができた。
同じく、「『探究プロジェクト』と教科教育が深く連動するためには、その双方に『知的なもの(反省性)』が含まれている必要がある。」(p.177.)という指摘や、「『プロジェクト』の歴史から学べることは、経験主義と教科主義を対立項にしないことである。」(p.176.)などの指摘からも、個人的な示唆を得ることができた。
その他、小学校と大学機関・施設、地域の博物館等などとの交流が学習を活性化する場面を多く読み取ることができた。

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