読書メモ

原田信之・須本良夫・友田靖雄編著(2011)『気づきの質を高める生活科指導法』東洋館出版社.

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以前に読んだ須本良太(2018)『生活科で子どもは何を学ぶか:キーワードはカリキュラム・マネジメント』東洋館出版社.と同じく、子どもたちの認知的な側面をしっかりと成長させようという意識が濃くみられる本で、とても参考になった。「気づき」「分かる」などが深まることはどういうことなのかを掘り下げようとしている本だと思う。気づきの質を「素朴な気づき」→「思考を経た気づき」→「認識の萌芽」へと高めていくための方略や視点なども学べるし、体験の「質」を問うている姿勢も感じられる。
重要そうなのでpp.25-26.からメモ

「Ⅰ層:認識の萌芽
なぜやどうしてなどに対応する質の転換に迫る認識が芽生える層
Ⅱ層:思考を経た気付き
追求のための活動や思考を経た気付きである。自分自身では気付いていなくても、クラスでの意見交流などから気づくことも多い層。
Ⅲ層:素朴な気づき
活動を通した対象との出会いで感じたことや素朴に思った気づきなど、多様な気づきが存在している層。かわいいとか暖かいとか言う情意的な気づきもこの層に位置づくことが多い。」

メモ
・個人的に改めて面白さを感じたのは、「低学年特有の学習意欲の育て方」(p.22.)などで、相貌的近くやアニミズム、没頭体験、有能感などが挙げられていた点だった。
・スタートカリキュラムなどと連動した、1年生の生活科学習や、本の後半に紹介される事例のいくつかは、合科的・教科関連的な学習のまさにそれという感じがする。低学年の児童側の教科目に対する認識も気になるところ。
・「ゆとりある単元展開に努める」(p.57.)とあるように、児童が気づきを深めるためには、時間的にも空間的にも心理的にもゆとりがないといけない、という話は、中等の教科学習に関わる機会の多い立場としては色々と考えさせられる。
・「気付きの深化」を考える上で、土だんご遊びと地質学や土木学の関連性が指摘もされていて(p.77.)、生活科の学際性についても改めて実感することができた。
・あさがお栽培を通した「自然の不思議さ」への気づきも含め、自然理解がその後の社会問題理解や人生観の素地になるのだろうとも感じた。「まちたんけん」を通して、はじめて「地域の魅力」に気づくとすれば、その気づきが社会認識の広がりに寄与することは間違いない。

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