
「教科書が読めるとはどういうことなのか?」という点にはずっと関心があり、授業準備で読んだ本。いくつも気づきがあった。読解力を「表象構築」「心を動かす読解」「批判的読解」の三つの概念に分けて論じている。結果として、教科書記述の読みづらさの理由の一端がよくわかる。二点が印象に残った。
一つは、「心を動かす読解」について。物語化されることで理解しやすくなる場面が多いの分かるし、同時に情動に訴えるようなストーリー性があることが、読み手の理解を生みやすいのだとと私は捉えた。授業で言えば事例のリアリティを豊かに示すことにも通じる話かなと。ただ、社会科としては安易な物語化、感情移入、同一化の路線には危惧もありうる。一方で、そこにある「人間模様」「息づかい」を感じられるのは魅力でもある。吟味の上、エッセー、ノンフィクション、時代考証のしっかりした小説等を活用する試みは個人的には大切だと思う。
もう一点は、批判的読解に関して、誤情報を訂正するには、表面的な否定ではダメで、その人の頭の中の世界の繋がりごと修正する必要があるという点だった。陰謀論やフェイクニュースと直結する話でもあり、この点は、戦略的に授業に組み込まないと、「焼け石に水」という感じになりそうな印象を持った。