読書メモ

加藤達也(2025)『社会科「自己調整学習」:学び方を生かした単元デザイン』明治図書.

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読後感として、自己調整学習は、プロジェクト学習や探究的な学習と親和性が高いようには思えたが、それが理論レベル、理念レベルで重なるものなのか、そこらへんが私はまだ不勉強で、もう少し吟味を重ねてみたいと感じた。単元を貫く問いの形について様々に考察が行われている。p.84~86.あたりの単元を貫く問いは単元目標の裏返しで良いか否かの議論や、p.82~83あたりの「問いを組み合わせる」の話などは、単元レベルで一貫した問いを追求できるか否かをめぐる重要な論点のように思える。個人的には、単元全体につながる本質的な問いを単元の最初の段階で児童生徒側から浮かび上がらせるのは、なかなか難しいようにも思える。単元導入には(知的好奇心は多少湧くものの)予想もつかない問いが、単元が進むにつれて徐々に身近になったり、解き明かされるヒントを得て答えに近づいていく、というアプローチもありうるのだろうか。「よそう」は「う・そ・よ」のフレーズは笑ってしまったが、それなりに本質的な手法のようにも思えた。全体を読みながら、教材研究を一度やり込んだ先生が自己調整学習にたどりついて見える景色と、教材研究が苦手な先生がそれゆえに自己調整学習を取り入れた末に見える景色とでは、どのように違ってくるのだろうか。本書は後者の可能性も擁護しながら論が展開されていたが、先の景色の違いは、自己調整学習の5段階のうち「整理する」「捉える」の場面で違いとして立ち現れてくる場合もあるのだろうか。そんな問題意識もあり、教師の豊かな教材研究と自己調整学習的な児童生徒の見取りがうまく組みあわさった授業の姿に興味惹かれた。

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