洋書メモ

Parkerson, D. (2001).Transitions in American Education, Routledge.

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『Transition in American Education』を読了。アメリカ教育社会史を各論で論じた感じの本。論点は多岐で勉強になった。「昔のアメリカは民族的に均質的で、20世紀以降に一気に多様化した」という素朴な発想への批判意識が全開。アメリカ教育は、植民地期から多様であり、後のコモンスクール運動を単に「発展」と言い表しきれない複雑さがあり、コモンスクールが、非党派的、妥協的に成立した結果として、WASP色が強くなったという解釈の重要性も感じた。ハイスクール成立に関しては、中産階級の職業的利害の話(例:地位を再生産)がされており、こういう知見を社会史的に再確認しておくことは重要な感じがした。

第6章や9章などでの教師の歴史が印象に残った。安い給料で働ける(主に女性)教師へのニーズが高まる中で、一方では資格化が進むという矛盾など、待遇と専門性の論点は今も通じる話だと思った。

その他、専門性を求める動きと、誰もが実践できる教材開発、授業法の模索が同時に起こっている印象がある。NEA等の全米的な団体と地域の教員組合、教育委員会の関係性にも言及があり勉強になった。特定地域一つとっても、団体の関係を理解するのは一苦労。やはり一つ一つの教育団体の志向性や構成員属性の違いを理解した上で分析するからこそ見えるものも多いと感じる。

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