『AI vs. 民主主義』を読了。ざっくりは見聞きしている情報でも、まとまった本で読むと背筋が凍る。米国大統領選を中心に紹介されるマイクロターゲティングの例。個人データをAIに学習させ、個々人の政治的傾向にカスタマイズした形でSNSなどで広告を出してくるというもの。
具体例は豊富。フェイクニュースの方がインパクトが強く拡散され、政治に関心がない人ほどターゲティングの対象になる。広告とジャーナリズムの境目が溶けていく。性格特性に合わせて微妙に書き換えられる広告内容も恐ろしい。選挙の実質的な結果を決める数万人に広告を集中投下する技術も恐ろしい。。
本後半では、個人データの法的保護のあり方をめぐり、欧州の事例など。プライバシーポリシーが実質機能していない話、様々な税制(リンク税、コンテンツフィルター税)の話や、セレンディピティ・ボタンの発想も勉強になった。日本の国民投票の規制が他の選挙より少ない(≒危険)ことも知らなかった。