『デジタル・シティズンシップ+』を読了。情報モラル教育と違いを強調しつつ、テクノロジーの良い面と悪い面を見極め、その両面と向き合う(悪い面だけを強調しない)学習者の育成を目指している印象。使いこなすスキル・知識習得の場を促し、社会問題も考えさせている。
紹介される10個の授業例は条件設定やワークシートも具体的で、タブレット活用をする学習者との「10の約束」の例示も、助かる読者は多いだろうと思う。「テクノロジーの矮小化・無毒化」を期待する声を批判していることからも、本書がテクノロジーの悪い面も認めた上での可能性を追求していると感じた。
ネット依存にも言及されており、医療、行政との連携を必要とする等、提言も含まれていた。社会科教育に関わる立場からすると、社会問題を扱う授業例で、個人目線の判断場面が多い(社会像や制度にあまり切り込まない)気もしたが、本書の提案をもとに各方面で様々な実践が開発・展開されるのだろう。