『キリスト教入門』を読了。キリスト教の歴史理解と現代理解の両方の上で勉強になった。キリスト教誕生時期に関して、本書は「歴史的イエス研究」の立場をとる。印象的だったのは、イエスを含む初期の指導者たちが、自分たちの信仰がユダヤ教と異なるものと考えていないこと。
イエスの信仰義認論や、虐げられる人々への関わり、神の国到来の発想含め、社会的な意味を強く感じた。改めて、キリスト教が、迫害される側から一気に国教へとなる大転換や、ゲルマン人が短期間でキリスト教を取り入れていくプロセスが印象に残る。ローマカトリック教会と東方正教会のシステムや慣習の違い、ピューリタン内の多様な宗派も分かりやすい。
20世紀半ば以降のカトリックが、教会一致促進運動への参加を含め転換を遂げたことも分かる。現代米国の聖書の非神話化をめざす「メインライン」と、対するファンダメンタリズムの台頭など。アメリカ政治における福音派の影響力の強さを再確認した。