読書メモ

向後千春(2012)『いちばんやさしい教える技術』永岡書店.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加



本書は、「上手く教えるための技術と科学を扱う」「インストラクショナルデザイン」の専門の研究者(p.30)によって書かれた本です。

学校や会社、家庭など様々な場面を想定しつつ、教え方の技術を論じています。
運動スキル、認知スキル、態度スキルの三つ。(p.64)を軸にして、それぞれのスキルの教え方を詳述しています。

二点印象に残ったことがあります。

一点目
スモールステップを踏んで教えることの重要性について。
とりわけ、文章を書くという作業が非常に総合的・複合的な作業であることを考慮に入れつつ、スモールステップを刻んだアプローチが良いと指摘しています。

ともすると、無茶ぶりの課題・宿題を学生に出していないだろうかと不安になるような話ではありますが、同時に、一つの課題にどれだけの複合的な要素が関わっているのかを考える視点の重要性を再認識できました。

この話は、問題解決に必要な「スキーマ」を段階的に獲得させていく、という話とも関連するかと思います。
相手がどこまで理解できているのか、どうして理解できないのかを観察する視点の重要性もよく分かります。

二点目
主に態度スキルに関して。

命令せずに本人をやる気にさせる促し方やコーチングの方法などが複数示されています。
命令ではなく質問をすること、相手の強みを見つけたり、ストーリーを作る手伝いをすることなど。

これらを読みながら、過去に読んだ教育技術書や実践記録のワンシーンが連想される瞬間が何度もありました。
それに相まって、理論と技術の関連性も感じました。

以上です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

English

コメントを残す

*

CAPTCHA