論文メモ

2023年5月の論文メモ

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小林真也(2023)「高等学校公民科の社会参加学習における社会的ジレンマを把握する手立て:構造的方略に対する当事者からのフィードバックに焦点を当てて」『公民教育研究』30, 49-62.

↑上記論文の抜粋
先行研究分析の結果、高等学校公民科における社会参加学習の先行実践には、非専門家知識の投入を図ることで社会課題の解決策の妥当性を高めようとする実践がないことが課題として明らかとなった。

p.52.

生徒たちは、「フィードバック」の活動によって、自分たちが意思決定した構造的方略についての評価を、社会的ジレンマにかかわる当事者から得ることができる。つまり、「フィードバック」を通して当事者の持つ問題認識や社会的利害に関する知識を獲得できる。

p.53.

生徒が食品ロスを政策問題として捉え、有効性の高い構造的方略を検討することの重要性を認識するためには、食品ロスを個人の協力行動と切り離して捉えさせたうえで社会的ジレンマを把握させるべきだと考える。このように、個人の協力行動と結び付けて捉えられがちな従来の食品ロス学習を克服し、食品ロスを政策問題として捉えさせるために、事業系食品ロスに焦点化した社会参加学習である本実践には意義があると考える。

p.54.

張傳伯(2023)「教師は如何に社会科教材を開発するのか:複線径路等至性アプローチを用いた小学校社会科教師の教材観の分析を通して」『公民教育研究』30, 33-47.

↑上記論文の抜粋
また、その調整の様相は2つの類型に分けられる。それを「社会志向が主軸の調整」と「子ども志向が主軸の調整」と呼称する。

p.45.


松原悠(2012)「学習指導要領の法的拘束力に関する諸説とその共通点」『教育制度研究紀要』7, 81-94.

↑上記論文の抜粋

学習指導要領に対する「そもそも法的拘束力という考え方は教育の具体的な営みに馴染まない」という考え方は、論者の支持する説が「指導・助言説」、「大綱的基準説」、「基準説」のいずれであるか、もしくは論者が「支持する説を明示しない者」に該当するかに関わらず、これら4 つのグループに共通して複数存在していることが明らかになった。また法的拘束力がどの程度有るのか、もしくは無いのかという観点で諸説を分類する伝統的な分類法は、立場を異にする複数の論者による「そもそも法的拘束力という考え方は教育の具体的な営みに馴染まない」という主張を隠してしまっていたのである。

p.91.

学習指導要領の法的拘束力をめぐるこのような問題は、1976 年にいわゆる旭川学テ事件の最高裁判決によって学習指導要領には法的基準性がある旨の判断が示されたことで最終的な決着がついたとされるが(鈴木, 2002, p.149/文部省, 1992, p.310)、その判決文の複雑さから、最高裁が学習指導要領の法的拘束力を認めたとも認めなかったとも解釈できることを指摘する教育学者もいる (青木, 1987, p.40/細川, 1983, p.117/室井修, 1996, p.157/吉岡, 2007, p.510)。このような論点を残しながら、同判決以降、学習指導要領の法的拘束力に関する議論は下火になっていく。

p.82.

木全清博(2022)「伊那小学校の総合学習実践からみた社会科と「総合的な学習」との関係」『社会科教育研究』87, 21-29.

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