目次は以下の通りです。
序章 出航前夜
第1章 乗船
第2章 三方よし
第3章 ヒトツナギ
第4章 時化
第5章 宜候
第6章 燈火
終章 志を果たしに
過疎化、人口減少が喫緊の課題として迫る隠岐海士町にある島前高校の学校改革の様子が描かれています。
具体的なエピソードに満ちており、大変読みやすく、時にコミカルです。
島前高校の魅力化構想案。地域のリソースを活用した学習。
地域創造型カリキュラム。留学生の積極的な受け入れ。学習センターでの学習支援。夢ゼミの活動などなど。様々な活動が紹介されています。
また随所から、島前高校の関係者が、「自分たちがこれからの時代を切り開くような試みにチャレンジしているのだ」という自負やビジョンを持っていることも伝わってきて、刺激的です。
読んでいて一番印象に残ったのは、岩本さんをはじめ、島に入ってくる人と、それを受け入れる島の人々。そこでの化学反応を巡る紆余曲折についてです。島の人々、教員たちと協働をしていく上での工夫や苦悩が強烈に印象に残りました。
いくら意味のある提案をしても、信頼関係がなければ聞く耳さえ持ってもらえないことを、島の生活で感じ取っていたのだ。
p.42.
センターへの不信も漏れ聞こえていた。生徒の現状や進路についての情報を共有するために、毎週一回、高校の進路指導部長や各学年の担任と豊田たちはミーティングを行うことにした。
p.98.
大切なのは理論やアイデアではなく、信頼関係やそれを育むプロセスであることを感じさせられます。
これからの日本社会の変容と、その中での学校の役割を想像する上でも、大変参考になります。