川崎良孝(2022)「ウェイン・A.ウィーガンド『アメリカ公立学校図書館史』(2021)の特徴と意義 : アメリカ最初の包括的な学校図書館史研究」『同志社図書館情報学』32, 75-106.
星野真澄(2022)「アメリカの学校段階区分変革に伴う学校施設設備の資金調達の実態ーノースカロライナ州シャーロットクレメンバーグ学区を事例としてー」『教育学研究』89(3), 26-38.
↑上記論文の抜粋
p.27.
学校段階区分変革に伴う教育環境整備に焦点をあてた研究は不十分であり、どのように学校関係者、地域住民、教育委員会等の合意を得ながら学校段階区分を変革して教育環境整備を行っているのか、また学校段階区分変革に伴う教育環境の財源を如何に確保しているのか、教育環境整備を伴う地方教育行政機関の審議過程や財政状況の分析はなされておらず、その内実は明らかになっていない。
学校施設設備の資源調達が実現するか否かは、住民投票に影響を受けるため、学区は学校現場や住民の声を尊重し、より効果的な債券プロジェクトを提案するように努めていた。この資金調達のプロセスにより、学区教育委員会と学区教育長は、一般目的政府と郡住民を説得できるよう単なる学校施設整備への投資ではなく、効果的な教育プログラムを提供するための投資になるよう検討を重ねているところに意義がある。
p.35.
松原悠(2012)「学習指導要領の法的拘束力に関する諸説とその共通点」『教育制度研究紀要 』7, 81-94.
華井裕隆(2022)「高校公民科における社会的課題の構造的把握をふまえた政策立案型授業ー政策的思考の育成を目指して」『社会科研究』97, 1-12.
↑上記論文の抜粋
p.2.
公民教育では、従来「問題分析」の研究・実践を積み重ねてきたにもかかわらず、政策立案型授業井成人提案するという行為を重視するがあまりに、分析がおろそかになってしまう。
まだ社会経験の少ない高校生にとっては、多くの利害関係者を想像し、「ヨコの構造化」を行うことはそもそも難しい。この、社会の多様性やつながりに理解が深い班が、「政策のデメリットを十分考えられているか」「政策の内容は具体的か」「効果的な政策か」という点において優れており、政策立案の質が高かったのではないか。
p.10.
丸田健太郎(2023)「国語教育研究/実践の対象としての〈学習者の母語〉概念の確立の必要性」『日本教科教育学会誌』45(4), 37-48.
↑上記論文の抜粋
p.43.
本実践で示された「自分のことば」へのとらえ方の拡張は、従来の「母語」観のような「母語=日本語」という認識から、自身のことばの実態に基づく「母語」観への変容であると言える。学生Aや学生が既述したように、周りにある多様なことばが自分の中に根付いていることを自覚することで、そっおから生まれる新たなアイデンティティを認めることができると考えられる。
学習者のことばの実態から考えると、〈学習者の母語〉と「国語」は相互に作用しながら駆動する、学習者の人生を動かすための両輪であると考える。社会的アイデンティティを育てるためには、個人的アイデンティティという基盤が築かされていることが必要である。
p.44.
永田忠道(2023)「専門性への欲望と総合性との相克ー教科教育学研究者・社会科・生活科の宿命と矜持」『日本教科教育学会誌』45(4), 53-59.
↑上記論文の抜粋
p.57.
このような制度上から鑑みると、教科としての社会科、そして社会科を研究対象としてきた社会科教育学、その研究者たちは斜陽にあるように見えるが、果たして、そうだろうか。見方を大きく転換させ、社会科と生活科に加えて総合的な学習の時間とさらに高等学校での総合的な探究の時間までを別物ではなく、一体化した存在や研究対象として見なすならば、その存在や対象は斜陽どころか大きな拡大深化を遂げているとも見ることができるのではないだろうか。
社会科が学校教育の中で始められる前、教科教育学が学的な立場を確立していく前の教育学・地理学・歴史学などは、応用教育学・応用地理学・応用歴史学に突き進んでしまった経験を有している。教科教育学は、教育学・地理学・歴史学などから見ると学的な歴史が浅く未熟なのかもしれないが、古くから続く学問がかつて経験してしまった過ちを繰り返してはならない新たな学問分野・領域として重要な役割を担っていることを自覚し続ける必要がある。そのための新たな学問の大前提として、専門性へと突き進みすぎることへの制御機能を教科教育学は備えている、備えていかなければならない、という考え方もできるのではないだろうか。
p.58.
土肥大次郎(2023)「社会科社会問題学習における問題構築を扱う授業ー広い視野からの批判的考察を重視した授業の開発」『日本教科教育学会誌』45(4), 13-22.
金道煉(2023)「SFL理論に基づいた韓国の「東アジア史」教科書の叙述構造の分析ー単元『17世紀の東アジア戦争』における多元的視点の具現化の検証ー」『日本教科教育学会誌』45(4), 1-12.
↑上記論文の抜粋
p.10.
事件に関連した人物とそれぞれ異なる動機と目的を表す心理プロセス、関連した人物間の連結関係および事件の属性を表す関係プロセス、そして同じ事件についての異なる解釈をする歴史家たちの論理を提示する発話プロセスを多く活用した叙述構想は、学習者に歴史が持つ解釈的な側面を強調する。