読書メモ

田村学編著(2017)『カリキュラムマネジメント入門:「深い学び」の授業デザイン、学びをつなぐ7つのミッション』東洋館間出版社.

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目次は以下の通りです。

カリキュラム・デザインが創造する「主体的・対話的で深い学び」
1年を通して「深い学び」をデザインする
カリキュラム・マネジメントの実際
世の中とつなぐ

新指導要領の文脈に即して、「カリキュラム・マネジメント」の導入やイメージの仕方を、具体例を複数挙げ、明確な方針を提示しています。
エピソード的な事例が豊富で、読み物として読みやすいというのが最大の特徴のように思います。

印象に残った点をメモします。

一点目。
本書がわかりやすいことの端的な例として、「つなぐ」というキーワードで本書全体がまとめられている点があると思いました。「カリキュラム・マネジメント」というと難しく聞こえるものが、「つなぐ」の言葉で再構成されていく感じ、著者の人気の背景が伺えます。

「カリキュラム・マネジメント」にせよ、「カリキュラム・デザイン」にせよ、重要なポイントは「つなぐ」ことにあります。カリキュラムを豊かに描き出したり、適切かつ効率的に管理したりしていくことによって、具体的には次のような「つなぐ」ことが生まれて来るのではないかと考えています。
・体験と言語を「つなぐ」
・単元を「つなぐ」
・教科を「つなぐ」
・暮らしと「つなぐ」
・一年の期を「つなぐ」
・人を「つなぐ」
・課題と成果を次年度に「つなぐ」

p.51.

二点目。
様々な「つなぎ」の中でも、特に言語活動による「つなぎ」が重視されているように思います。
同時にそれが、体験と知識を繋いだり、総合/生活科と教科を繋ぐことともリンクしているようです。

他教科等との関連を図る際には、特に、言語活動を重視します。これは、体験や活動だけを行っていても、子どもの学びは深まっていかないからです。体験や活動をもとに、子どもたち自身が気付きや思いを自覚することが大切です。子どもは、言語活動を通して、自らの活動や体験を振り返ります。そうすることで次の活動への意欲や見通しをもつことができるようになります。

p.64.

書くことは、思考をともなう作業です。したがって、思考力や表現力等の資質・能力を育成する上で、言語によりまとめたり、分析したりすることを体験活動とつないで問題解決や探究活動のプロセスに位置付けることが大切になります。また、そのプロセスに他者と関わり合う場や振り返りの場を位置づけることも必要です。他者と関わり合うことで、自分の考えを言語化し表現し、獲得した知識をより確かにすることができます。

p.76.

このような文脈の中で、第3学年以降では総合と国語科で育成する資質・能力をつなぐ(p.78.)など国語科との連携が強調されています。

三点目
「思考スキルで教科をつなぐ」という表現に表されるように、思考スキルなどによって、教科間の内容を連携させようとしていることが読み取れます。
資質能力の議論と親和性が高く、かつ分かりやすい表現になっているように思えました。同時に、思考スキルと教科の論理がうまく組み合うのかどうかについては、様々な検討が続けられるのだと推察されます。

①考えさせる必然性のある学習課題の設定によって思考スキルを発揮できるようにする。
②思考を可視化する道具を工夫することで、考え方の自覚を促す。
③他の教科等においても同様の経験を促し、知識・技能の再構成を促す。

p.154.

他の教科等で、「比較する」「関係づける」といった同様の思考を促すことが有効学習場面を設定し、「○○科の授業でも同じように考えることで学びが深まった」といった実感を引き出します。

pp.156-157.

その他、コミュニティスクールの流れも含め、総合の活動との親和性が高いことも再確認できました。

最後にこの言葉。教科教育に関わる立場として、どう捉えていくべきか、考え続けたいと思いました。
特に中等教育における生徒の学習経験は、どの程度総合的なもので、どれくらい教科の影響力があるのか。そこが気になりました。

子どもが学びを自分事とするとき、教科の枠を超えていきます。子どもの学習を成立させるために、教師がカリキュラムを金地面とする意味がここにあります。私は、出来るだけ具体的にその方策をもちたいと考えます。子どもたちが学ぶ主役となるために。

p.251.

以上です。

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