感想メモ

【本】Cristine Woyshner, Joseph Watras, Margaret Smith Crocco (Eds). (2004). Social Education in the Twentieth Century: Curriculum and Context for Citizenship. Peter Lang.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

目次は以下の通りです。

Acknowledgments

Introduction

Early Vanguards of Progressive Education: The Committee of Ten, The Committee of Seven, and Social Education

“Problems of Democracy” and the Social Studies Curriculum during the Long Armistice

Civic Hands Upon the Land: Diverse Patterns of Social Education in the Civilian Conservation Corps and Its Analogues 1933-1942

Teaching for Intercultural Understanding in the Social Studies: A Teacher’s Perspective in the 1940s

Jewish Education for Intelligent Citizenship in the American Jewish Community, 1910-1940

From Assimilation to Cultural Pluralism: The PTA and Civic Education, 1900-1950

“Some Sort of Revolution”: Reforming the Social Studies Curriculum, 1957-1972

Social Studies during the Civil Rights Movement, 1955-1975

Women and the Social Studies: The Long Rise and Rapid Fall of Feminist Activity in the National Council for the Social Studies

Social Studies and the Discourses of Postmodernity.

Same-Sex Desire, Gender, and Social Education in the Twentieth Century

Historians and Social Studies Educators, 1893-1998

Citizenship Education and Social Studies Curriculum Change after 9/11
List of Contributors

アメリカの社会科教育史という視点を、意識的に広げつつ、「Social Educaiton」の視点から論じた論考が並んでいます。

個人的にはいくつかのタイプの論考が混ざっているような印象は受けました。

一つは、社会科教育史的に著名な実践や展開の背景をもう少し深く掘り下げて再検討しようとした論考です。たとえば、「Early Vanguards of Progressive Education: The Committee of Ten, The Committee of Seven, and Social Education」や「”Problems of Democracy” and the Social Studies Curriculum during the Long Armistice」、「Historians and Social Studies Educators, 1893-1998」などはそれにあたるように思います。Bohanの実践では、それまで紹介されてこなかったAHAのアーカイブ資料などにも考察が広げられています。

もう一つは、社会科教育関係者が、各時代の出来事や運動にどのように向き合ってきたのかを論じた論考です。例えば公民権運動の時期や、フェミニズム運動の隆盛、ポストモダン理論の台頭の中で、社会科教育関係者がどう発信をしたか。LGBTの論点にどう向き合ってきたか。こういった点が論じられています。その際に主に注目されているのは、NCSSとSocial Education誌という印象を受けました。

最後は、一見すると社会科教育史の外にあるけれども、Social Educationの枠組みではとらえきれる事象を論じた論考です。例えば、「Civic Hands Upon the Land: Diverse Patterns of Social Education in the Civilian Conservation Corps and Its Analogues 1933-1942」や「From Assimilation to Cultural Pluralism: The PTA and Civic Education, 1900-1950」などはそれにあたると思います。
この第三のタイプの論考が加わることによって、Social Educationの視点に広がりが生まれている気がします。

そのため、論考によって議論の枠組みのスケール感は異なりますが、社会科が教科の外からの影響によって成り立っていることを意識的に論じている点は共通しています。

また、保守的ともいえるCCCのシティズンシップ教育論も挙げたり、ユダヤ系の学校でのシティズンシップ教育の事例などが扱われることで、いわゆる社会正義系の教育論ではない多様な教育観が論じられているように感じました。

その他、異文化間教育の全米的な議論が、公立学校の教室にどのような影響を与えたのかを追究した論考は面白かったですし、ユダヤ人学校での社会科教育が、進歩主義教育や社会科教育の理論的展開の影響を受けながら、独自に発展している話などはとても興味深く思いました。公民権運動時代以前には、社会科でも人種の議論が全面に行われる機会が少なかったことも再確認しました(ラッグ社会科などいくつかの事例を除く)。

純粋に様々な時代、論点に触れられるため、(博論的な本ではなく、)こういう論考集的な本の良さを感じる一冊となりました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

English

コメントを残す

*

CAPTCHA