読書メモ

【本】角田将士(2022)『NG分析から導く社会科授業の新公式』明治図書.

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目次は以下の通りです。

はじめに
Chapter1 社会科教師のための『社会科』再入門
Chapter2 やってはいけない! 社会科授業NGパターン
Chapter3 社会科授業構成の4タイプ
Chapter4 求められる社会科授業アップデートの視点
Chapter5 社会科授業アップデートを支える カリキュラム・マネジメントの視点とNGポイント
おわり

社会科教育学の理論的な知見を、初読者にでもわかりやすく書いている本です。
大学のテキストにとてもマッチした書き方だなと感じました。
提示される授業例も、中学・高校が多く、この点も私にとっては助かります。

本書の基本路線として、
コンピテンシー重視で「主体的・対話的で深い学び」を志向する現行の指導要領を「1995年の改定以来の画期的な改訂」(p.19.)としたうえで、活動重視の学習にならないように、教師の指導性や教材研究、授業構成が重要であることを何度も強調しています。

活動中心の社会科授業は、合理的判断や感情的判断に基づく態度の形成よりも、表出される子どもたちの行動そのものを重視するものになっている。

p.64.

全体的に読みやすく、著者のスタンスもはっきりしている気がしました。

個人的には、「見方考え方」を方法としてでなく、目的として捉える必要性(p.164.)については、その重要性を再認識しました。

社会科授業では、「見方考え方」を「視点や方法(考え方)」として働かせる学習だけでなく、それを通して「目的」概念としての見方・考え方、つまり、子どもたち自身がもっている「社会の見方・考え方」そのものを成長させていくような授業作りが必要であると、筆者は考えています。

p.164.

その他、「・・・なのに、○○なのはなぜか」といういわゆる認知的不協和を起こす発問が、小学校よりも中学校で有効であるという話は、私のこれまでの認識(こういう問いは初等の方が適している?)を少し変えてくれる、大きな示唆を頂いた気がします。(もちろん、問いが高度化しすぎないように配慮すべきとも、本書では書かれていました。)

「○○なのに××なのはなぜか」という副文型と問いをMQとして設定することが、魅力的な導入づくりのための有効な手立てとなります。特に、中学校においては、小学校での社会科学習では十分に説明することができない疑問や矛盾を踏まえた問いを設定することで、中学校での社会科学習の意義をより明確にできます。

p.174

分かりやすく理論を教える方法などについて、多くの示唆を頂きました。

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