2018年度 特別活動論

学校における特別活動に関する授業を通して、学校教育における集団作りのための教育活動のあり方について探究します。具体的には、生徒会や学級会、学校行事などに関する意義を検討し、様々な論点や資料を読み進め、議論をすることを通して、履修者自身の意見を構築することを目指しています。

【2018年度内で既に終了した授業内容を、随時簡単に紹介します。】

第1回 ガイダンス:本授業の最終ゴールを共有する
この授業のコンセプトや最終的に達成したいゴールについて説明しました。

第2回 履修者の特別活動に関する語りから見る特別活動の意味付け
履修者同士が、中学校・高校時代の学級活動や生徒会、学校行事にどのような思い出があるかを書き出して、お互いに聞き取りをし合う活動を行いました。思い出に関しては事前にレポートに簡単にまとめてきてもらい、思い出をペアの人に説明をする際は、思い出を4つのキーワードにまとめて説明してもらいました。その上で、さらに他者から聞いた思い出を、グループになって別の人に話すという活動をすることを通して、多くの履修者の思い出を共有することを促しました。

第3回 ダイヤモンドランキングを通して考える特別活動論の意義と目的、歴史
特別活動の学習指導要領やテキストなどから、特別活動で育てるべき9つの力をカードにして、その優先順位をつける「ダイヤモンドゲーム」を実施しました。お互いの優先順位を比較し合った後に、それぞれの力を「集団重視・個人重視」「適応重視・創造重視」の二軸で四象限を作り、そこに位置付ける作業をグループで行いました。
後に、それぞれの目標をいくつかの分類ができることを解説しました。授業の後半では、特別活動の歴史をまとめたレジュメを配り、その内容を各自に4枚の紙芝居にまとめてもらい、発表して貰うという作業を行いました。

第4回 学級活動の運営と実践(1):討論形式で考える学級での議論の方法
学級活動において、合意形成が必要とされている理由や背景などを説明した後に、グループになって討論をしてもらいました。討論のテーマは、「複数の部活動がそれぞれの言い分がある状況の中、限られた体育館のスペースをどう利用するか?」にしました。設定などを配布した上で、各部活の立場になりきってもらい、どうすれば合意形成できるのかを皆に考えてもらいました。

第5回 学級活動の運営と実践(2):対話的な話し合いの方法とキャリア教育の実践紹介・体験
話し合いの進め方に議論と対話があることを説明した後に、クラスでの傾聴を重視した聞き合いが大切であるという話をしました。その上で、対話としての「オープンクエスション」の練習をするために、お互いの将来像を共有する「未来同窓会」というアクティビティを行いました。未来同窓会は、50年後の自分についたお互いが語り合いながら、今と未来を繋げて発表者に話してもらう活動です。未来同窓会の活動をした後に、キャリア教育についても簡単な紹介をしました。

第6回 学級活動の運営と実践(3):ホワイトボードを活用した議論と論点の可視化
話し合いを進める際に、可視化をすることが重要であることを体験する内容です。授業では「ホワイトボード・ミーティング」の手法を取り入れた話し合い活動を体験してもらいました。話し合いの際には、【発散】【収束・構造化】【活用】【発表】の4ステップを意識しながら、「校外学習で行ってみたい場所」についてグループ内で話し合い、候補を絞ってもらう作業をしました。

第7回 生徒会活動と学校運営への生徒の参加(1):国内での先進事例の分析(松本深志高校の実践をもとに)
生徒会活動に関する学習指導要領の文章から、重要だと思うキーワードを各自が選んでもらい、それを発表・整理するような作業をしました。その上で、長野県松本深志高等学校の生徒会活動の動画を二本観ました。1本目の動画は、生徒会の予算配分の会議について。2本目の動画は、近隣住民との騒音問題の解決についてです。いずれも生徒主体で行われる活動を動画で見た後、「皆さんは、これらの問題解決は教師に任せればよい(生徒の役割ではない)と思いますか?」という問いのもとで、賛否の議論をしてもらいました。

第8回 生徒会活動と学校運営への生徒の参加(2):大学における学生自治との比較を通して
前回の高校での生徒自治の事例をさらに深める意味で、大学における学生自治がなぜ盛り上がらないのかを履修者に考えてもらいました。導入で、複数の大学において、学生自治が機能しなくなっていることを示した資料を配布します。その上で、履修者自身の学生生活を振り返ってもらい、「大学側に自分たちの言い分を聞いてほしいと思った瞬間はあるか」という論点で、議論をしてもらいました。その上で、「仮に、提案するならどんな仕組みや取り組みを提案するか?」を議論してもらい、数名に次回の授業の際に模擬選挙の候補者役になってもらう了解を得ました。

第9回 生徒会活動と学校運営への生徒の参加(3):模擬選挙の実践と主権者教育の実践紹介・体験
前回の大学自治の内容を引き継ぎ、数名の履修者に大学に取り入れたい仕組み・取り組みに関するアイデアを発表してもらいました。発表後に模擬投票を行い、開票をしました上で、簡単な振り返りを行いました。授業の後半では、近年の主権者教育の実践が多くなされていることに触れ、街の空き地開発に関する主権者教育教材を実際に生徒に体験してもらいました。

第10回 海外の事例を通して日本の特別活動のあり方を考える(サドベリー・バレー・スクールの実践の検討)
生徒による学校自治を考えるために、米国のサドベリーバレースクールの事例について考えました。サドベリーバレー校に関する紹介動画を見た後で、ロジャー・ハートの「参加のはしご」について説明しました。その上で、「『サドベリー・バレー・スクール』の考え方を日本の学校に取り入れることに賛成ですか?反対ですか?」を論点にして、賛否についてクラス全体で討論をしました。最後に、サドベリースクールの日本での普及状況についても簡単に説明しました。

第11回 学校行事の特徴と課題(1):ディベートを通して考える学校行事の意義(巨大組体操は認められるべきか?)
授業の前半では、学校行事を5つの範囲(「儀式的行事」「文化的行事」「健康安全・体育的行事」「旅行・集団宿泊的行事」「勤労生産・奉仕的行事」)に各担当者を設定し、お互いの担当に関する資料を配り、担当を紹介しあう活動を行いました。その上で、体育祭に焦点を当てて「巨大組体操は認められるべきか?」をテーマにした討論を行いました。討論の際には、新聞記事と異なる主張をする専門家の意見、データなどをまとめた資料を配布した上で、「組体操そのものを全廃するべき」「巨大組体操を全廃し、安全な組体操を残す」「教員への指導を徹底できた場合に限り、巨大組体操を実施する。」の三択から自分の意見を選んで討論をしてもらいました。最後に小学校の運動会の時短が進むことを取り上げた記事を紹介し、学校行事の意義について、各自が振り返るように促しました。

第12回 学校行事の特徴と課題(2):校外学習のプラン提案
履修者には、事前に校外学習の行き先を提案してもらうように、レポート作成を促しています。提案の際には、必ず下見をしてくることを条件にしています。この日の授業では、お互いの校外学習のプランについて紹介しました。行き先、当日のスケジュール、この見学を通して生徒に学んでほしいこと、見学の事前事後の工夫、下見に行って気づいたこと、などをスライドを使って発表して貰います。発表を聞く側は、発表内容を「楽しさが多い、少ない」「学びが多い、少ない」の二軸の4象限に位置付ける作業をすることを通して相互評価を行いました。

第13回 特別活動の計画と提案(1):これまでの授業の振り返りと最終パフォーマンス課題に向けた検討
これまでの授業の内容を振り返りながら、特に印象に残った思い出などをお互いに述べあう時間をとりました。その後、次回のパフォーマンス課題に関する説明や、定期試験の細かい趣旨説明を行いました。

第14回 特別活動の計画と提案(2):最終パフォーマンス課題:「特別活動はなぜ必要なのか?」をプレゼンする
「「特別活動不要論」を唱える人(進学率向上を至上命題とする人)に対して、どのように説得するか?」をテーマに、各自が作ってきた発表資料(A3用紙2枚に手書きorPCで編集)をもとにして、発表を行って貰いました。ちなみに、このテーマ設定自体は、第1回の授業時から説明しています。発表を聞く側の人(斉藤含む)は、発表に対する反論を考えてもらうように促し、発表後に質疑・討論をするようにしました。

定期試験