読書メモ

武田緑(2021)『読んで旅する、日本と世界の色とりどりの教育』教育開発研究所.

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著者が、国内外の様々な教育現場をまさに「旅」をして、その体験や関連する情報をまとめた本となっています。紹介される事例の中には、有名な事例も多いですが、本書の一番の魅力は、「自分も現場を見に(旅しに)行きたい!」と思わせてくれる点にある気がしました。実際、有名な学校でも、実際に見学に行ったことがある人はそう多くないのではないか、とも思います。目で見て肌で感じて来る、ということの意味を味わえる、次の文章はとても印象に残りました。現地に行って、事前学習や語学学習の足りなさを公開する参加者へ筆者が語り掛ける場面です。

「現地にいられる時間は限られています。だから、一般的な情報や、後で調べて分かることは、疑問を書き留めておいて、ホテルで、もしくは帰国後に調べましょう。この空間に立って、自分の目と耳で、肌で、空気語と感じられるのはいまだけなので、それを大事にしましょう」(p.190.)

旅の臨場感が読者側にも伝わってきますし、こういう感性は私も大切にしたいと感じるところでした。(そして、私ももっと現地訪問せねばと反省しきりでした・・・。)

あと、もう一点印象に残ったのは、日本におけるオルタティブ教育の今後の展望を語る際に、「時代の変遷とともに、オルタナティブな教育が制度内でも展開されるようになってきたことは押さえておきたいところです。」(p.212.)と述べています。「学校教育法第1条」に基づく、「一条校」の立場として許可されるオルタナティブな学校が今後も増えてくるだろう、ということだと思います。
「きのくに子どもの村学園」についても、「制度の中に位置づいていることで、きのくにの存在自体が、公立学校や私立学校でも、やろうと思えばこれだけ自由に柔軟な教育ができるんだよ、という強烈なメッセージを発しています」(p.46.)とも述べています。近年の「大日向小学校」や「ドルトン東京学校」などの話も例に出ていましたが、先日読んだ『探究プロジェクトの最前線:国際バカロレア(PYP)の理論と実践にも出てきた、IB校の本での先生方の苦労話も思いだされました。独自の理念を前に出しつつ、日本の教育制度の許可を得て学校運営する学校の動きを、今後も注目していきたいと思います。

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