読書メモ

石田南穂(2024)『我が友、スミス』集英社.

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スポーツジムに通う会社員の主人公がトレーナーにボディ・ビル大会への出場をすすめられ、大会にむけて様々な準備をしていく。筋トレ、ボディービルに関する圧倒的に詳しくリアルな描写と、大会で求められる「女性らしさ」と葛藤する様子が印象に残った。解説にも書かれているが、「女性らしさ」を求められる場面を単に一刀両断するわけでもないところに、本書の描く社会の複雑さと魅力があるようにも感じた。
あと個人的な読後感として、「大会に挑戦する」という選択が、人を大きく成長させるのか?という問いが頭に浮かんだ。モチベーションを高めるために、何か分かりやすい目標を立てて、それに向けて全力で準備し挑戦する。そういう戦略を私自身とりがちなのだが、その「分かりやすさ」は、時として、何のためにその競技や趣味をやっているのか?という視点を曖昧にしてしまうこともある。大会参加はブーストのような役割も果たすし、そのプロセスで多くの努力もできる(ことがある)。現に主人公の女性は大会準備のために飛躍的な変化を遂げることになる。ただ、大会で勝つことが人生の目的になりえないように、その競技や趣味に惹かれ打ち込む理由は、「勝ち負け」「競争」に還元できない、「別のこと」であることもある。そのズレや違和感に繊細でありたいなと、本書を読んで感じた。

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