読書メモ

河原温(1996)『中世ヨーロッパの都市世界』(世界史リブレット)山川出版社.

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1995年の著作ではあるが、読んで学べる点が多くあった。中世都市が「自由」「自治」のポジティブなイメージで語られがちである潮流があるのに対して、その再検討を行う内容となっている。例えば、「都市の空気は自由にする」などと言ったりもするが、都市と農村の関係は、相互関係的なものとして捉えられる点や、農村共同体にも自治的活動を行っていた側面があることなどが紹介されている。人口10万人を超える大都市に注目が集まりやすいが、ヨーロッパ全体の9割以上の都市は人口5000~1000人程度であり、そのような中小都市とその周辺農村とのネットワークに注目がなされつつあることも指摘されている(pp.35-37)。都市における福祉の機能についての記述も複数見られ、発展や成長を遂げる都市の中で、周縁化される人々や格差の問題に対する対応が、初期の多様・雑多な形から、徐々に系統立てられたり、身分差が強調されるに至るプロセスをどう捉えるべきか考えさせられる。ヨーロッパの中でも地域によって異なる都市の形態や秩序がその後の近世へと与える影響などについても論じられている。

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