
読みやすく、楽しんで読める本だった。ルーズヴェルトは、コミュニケーション力やパフォーマンス力に卓越した人物であり、色々な政治的立場の人の意見を聞いて比較した上での(妥協も含めた)政治的な決断力に優れていた人物であったように読めた。例えば、ブレーントラストによるアドバイザー組織の話が印象に残った。(異なる意見の立場の議員に討論をさせ、ルーズヴェルトは司会に徹した後に決断するという話など)。政治的リーダーのスタイルの類型のような研究があれば、学びたいと感じる。妻エレノアの存在や影響力は、各種の映画などではよく目にしていたが、本書でも様々に登場する。夫婦の愛情がない状況でも、互いの持ち味を生かしてWinWinのパートナーシップ関係を作り続ける過程もまたルーズヴェルトらしさのように読めた。
ニューディール政策をめぐる南部、黒人政策の限界はよく見聞きするが、自身のポリオの治療と南部社会との接触が、ルーズヴェルトの政治家スタンスに影響を与えているという話や、ニューディール政策下での黒人支援策として、南部保守派からの批判が少ない文化・芸術面での支援がなされたことなど、参考になった。あと、読み始めの方で、ルーズヴェルトの政治家以前の時期の成績・評判がイマイチだという点と、ニューヨーク州上院議員になって以後の変貌ぶりに驚いた。