読書メモ

菊池馨実(2019)『社会保障再考:〈地域〉で支える』岩波新書.

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地域を軸にした社会保障のあり方を摸索した本。生活困窮者支援制度を代表例としながら、金銭、現物、サービスを含む「給付」を体系としてきた従来の社会保障制度の系譜とは別の「各人の個別的なニーズやさまざまな生活上の困難を受けとめる相談支援」(p.69)の可能性を多く論じている。「相談支援を、従来型の社会保障給付と有機的に関連付けて、あるいはそれ自体単独に、本格的に展開していくことが、「21世紀型福祉社会」のめざすべき方向ではないかと考えられます。」(p.69.)とも述べられていた。当然、地域共生社会の構想や地域包括ケアシステムについても詳しく説明がなされている。また、従来の生活保護制度を「就労支援などを含む自立の助長に配慮した政策的な取り組み」が本格的におこなわれてこなかった(p.115.)として、相談支援、包括的な支援の重要性を論じている。
本の後半は、地域づくりについて。地縁型コミュニティへの回帰を求めるというよりも、地縁型とテーマ型コミュニティをうまく組み合わせることで、地域コミュニティの再構築を目指しているように読めた。地域を絶えず「耕し続ける」継続的な営みや地域の各種の事業や専門家がネットワークを形成していくことの重要性なども指摘されている。
世代間格差に対しての意識も強く、現役世代をいかに社会保障システムの中に組み込んでいくかという点は各所で論じられていた。例えば、政府の描く地域共生社会の図の中に、平日に職場で働く現役世代や学生・生徒などの存在が見えてこないという点(p.187.)であったり、障害者への支援制度と介護保険ト゚を同号することで、若年世代も含めた介護保険制度にする方が望ましい(p.208.)という点も挙げられていた。社会保障教育の必要性も指摘がなされていた。

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