
第1章「『LGBT』へのよくある勘違い:ネガティブ編」、第2章「『LGBT』へのよくある勘違い:一見ポジティブ編」、第3章「『LGBT』に限らないよくある勘違い」の計22個に及ぶパターンと事例がとても詳細で、同時に私にとってはハッとさせられる内容もあった。この最初の三章を読むだけでも、一読の価値ありという感じがする。特に「LGBTが身近にいるという実感がなかなか湧かない」という人は絶対に読むべきだと思える。
セクシュアル・マイノリティの困難の特徴として、「存在や困難が目に見えにくいこと」「地縁や血縁に頼れないこと」(p.99)が挙げられているが、これらの困難が生じる中で、当事者が、いかに日常的に差別や不快な思いに晒されているのかがよくわかる本となっているように思えた。カミングアウトの状況に関わった人がそのこととどう向き合うか、そしてアウティングにならないようにどう気を付けるべきかという点が詳述されている。
「何がNGワードか」だけを気にする人たち」(p.74.)の話は、先日読んだ岩渕功一(2021)『多様性との対話』の内容を思い出した。根本的な理解をしないままに、「最近は話しづらくなった」と感じがちな人に対する問題点を指摘している。トイレの話も出てくるが、この本を最初から順番に読んでいけば、著者の言う通り「嘘を吐いて女性トイレを使いたい、というのは考えがたいことではないでしょうか」(p.179.)という指摘に深く同意したくなる。本書でも指摘があった通り、現代社会において「セクシュアルマイノリティ」という言葉自体は広がる一方で、その実態を知らない人や、勘違いや偏ったイメージを持つ人が多いかもしれない。であればこそ、多くの人に読まれるべき本という感じがしました。