
有田先生の社会科教育の本をよく読んできた立場として、その有田節が生活科でも見れて心地よく読めた本だった。「みる・きく・調べる・考える」「体験活動」「表現」のプロセスと、体験活動を通した「実感」と「体得」(①感性をみがく②認識力・判断力をみがく③生活技能をみがく④たくましさを育てる)、について理論・構想が論じられてはいるが、この本の大半は、生活科に親しみのない学生たちを前に、有田氏が授業をして、学生の認識を変えていく授業実践記録であった。実践の描き方や、学生の声に対するコメントの仕方などは、過去に読んだ有田氏の本の懐かしさを覚える。まさに、「体験によってしか本当の「よさ」はわからない。」(p.224.)を示そうとした本であった。
様々な実践例が載っているが、一番詳述されているのは、「大学生の学校体験」の発表の内容・様子であった。内容は勿論面白いのだが、このことから分かるように、本書では、「小学1・2年生にとって学ぶ意義のあるように」といった強く学年・発達段階を意識したスタンスではなく、「大学生でも楽しめる生活科の魅力」を存分に強調するスタンスがとられている。もちろん、授業内でそういった補足がされている可能性はあるが、有田氏も、「いずれも『体験活動』を通したもので、こういう体で考えることが、後で子どもたちを指導する時に役立つだろうと考えている。しかし、これは私の考えることで、学生たちは「楽しく活動」すれば、後に自然と残ると思う。だから、あえてねらいなどは話していない。」(p.91.)とも述べており、基本的には学生自身が「楽しむ」「体験する」ことを重視してるように思えた。
「はてな」「常識を覆す」などの理念は生活科でも通底しており、有田氏の社会科論と生活科論の連続性や差異についても、今後も考えていきたい。