読書メモ

有田和正(2005)『教科書の使い方を変え子どもに力をつける』明治図書.

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『教科書の使い方を変え子どもに力をつける』を読んだ。有田氏が「『教科書を教えること』に徹すること」を主張する意味に興味惹かれた。有田氏にとって「教科書を教える」とは、「自分流の教科書を作り、それを分かりやすく教えること」だという。

これだけだと抽象的だが、以下の話が分かりやすい。まず有田氏は、教科書を「最低30回は読む。しるしをつけながら」と促している。そして、その過程で教師が疑問に思ったことを教科書に書き込み、調べ、情報をまとめるうちに、「教科書の中に、自分の教科書を作る」(p.34.)ということ、すなわち「自分流の教科書」が生まれる。

要は、教科書の文章の行間や資料を徹底的に検討すると、自然と発展学習につながり、それが教科書内容の本質理解へと帰ってくる、と私は理解した。ゆえに著者は「教科書をしっかり教えれば自然と発展する」(p.104.)とも述べる。教科書からの発展学習の可能性を子どもに示唆するヒントや発問を示したり、教科書内容に深い興味を持たせる資料を発掘するのも教師の力量、という感じだと思われる。

読んでいて悩ましかったのは、教科書の徹底的な教材研究力や資料発掘力を求める話と、(時々出てくる)有田式の教科書をコピーして使うとよいという話のニュアンスを、どう関連付けて捉えるべきかという点だ。既製品としての教材集と、教材研究のプロセスの経験とのマッチングとも言えるかもしれない。この世代の方々の著書を読むと、教材研究に燃え上がる熱量がヒシヒシと伝わってくるが、仮にそこの本質があるとすれば、教材研究の「熱量」や「経験」の共有・継承のされ方が大きな論点になるように思えた。

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