読書メモ

宮入恭平(2015)『J−POP文化論』彩流社.

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『J-POP文化論』を読んだ。一番面白かったのは、J-POPの政治性に関する考察。1960年代ロックを代表格に、「音楽ジャンルがアイデンティティを表す時代」から、1990年代以降の「J-POP」「演歌・歌謡曲」の二分法的なジャンル観へ書き換えられたことにより、J-POPが 「無色透明で無味無臭なものとして」(p.129.)の捉えられるようになる。そこには、言及されてきたアドルノのポピュラー音楽論における「規格化」の話も繋がってくるかもしれない。

その無色透明ではなくなった例として、サザンや椎名林檎の当時物議を醸した歌が取り上げられている。これらの指摘を読むと、J-POPが(音楽産業としての)商業化・規格化する中で脱政治化されたように論じられている感じがあるが、ここでいう「政治」とは何なのかと考えさせられつつ、少し腑に落ちない感もあった。

本書最後の方では、「平成という時代は、J-POPの時代でもある」のであり、「J-POPをあらわすのに『平成歌謡』ほど相応しい言葉は見当たらないと確信している」(p.194.)と述べられている。平成とはどういう時代だったのかを今一度振り返りたい気もしたし、今後のJ-POPの行く末の多様な展開にも注目していきたい気もした。

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