『「発問」のデザイン』を読んだ。著者の読書量、引用される知見の広さに脱帽。「発問」の論点を網羅的に書いている点が本書の最大の強みだと感じるが、同時に、授業の骨格的な発問の話と、他の細やかな発問、助言、指導技術、環境整備の話が絡み合い、視座の広い発問論となっている気がした。その例として、ゆさぶり発問の是非に関する箇所でも、それが「授業観」だけでなく、「指導技術観」や「子ども観」も問われるという指摘が印象に残った。
「第7章 子どもの側からの問い」に象徴されるように、教師側の問いと子ども側の問いは、時に重なり、ズレ、相互反応しあう。その調整の繰り返しに価値があり、そこの調整をするための具体的な発言、事例が豊富に載っているのも良かった。
この先は、自分自身で実践記録を読み直そうという気持ちをそそられた。目の前の子どもの問いを大切にするうえでも、教材研究が重要という著者の指摘も一貫しており、勉強になった。