読書メモ

北原モコットゥナシ・田房永子(2023)『アイヌもやもや: 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。』303BOOKS.

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『アイヌもやもや』を読んだ。読みやすい漫画と、概念的・学問的な説明、アイヌに関わる様々な「モヤモヤ」するエピソードの具体性など、情報豊富で勉強になった。「○○に会ったことがない」と表現することの問題点や、日本人の民族性の論点など、考えさせられる点が多い。

「シサム/和民族」という視点に気づけるだけでも認識が大きく変わるように思えたし、その言葉を当たり前のように多用する本書を読むだけでも価値ありと思える。同時に本書が「和民族」なるものの、そもそもの歴史性や多様性についても考え直せと強く訴えてくるように思える。「○○に会ったことがない」の問題点として、不可視化とステレオタイプの強化がされてしまう(p.32.)という点は、本書で出てくるアイヌの人々が自分のルーツを隠していくエピソードとまさに重ねて考えさせられた。

印象に残ったのは、「差別の三者関係モデル」(p.84.)や「アクティブバイスタンダー」(p.160)の話などで、周りでパッと出てくる差別的な発言や、場合によっては本人の悪意のない発言に対して、何となく流してしまうのではなく、自分はそう思わないという行動を起こすことの意義を再認識する。同時に、私自身これが得意なわけではなく、本書に出てきた「心の中の準備」をしておこうと再認識する機会となった。

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