『ハンセン病と戦後民主主義』を読了。戦後の日本において、「なぜ隔離が(戦前より)強化されたのか」が本書の最大のテーマ。19頁に「わたくしは、むしろ、戦後民主主義そのものが絶対隔離政策を求めていたと考える」とある。この意味を考えながら、各章を読むことになった。
「公共の福祉」の名のもとに、(国際動向とは逆行しながら)強制隔離の環境を強化し、維持しようとする政策関係者の言動は恐ろしいものがあった。ただ同時に、「救癩思想」(p.204.)の話にもある通り、患者の方々に擁護的な人も、結局は隔離自体は仕方がないと認識しているケースが多かったり、「無癩県運動」のように、民衆や一般市民が隔離政策を積極的に擁護し協力していく構図が強烈に印象に残った。
戦後民主主義のために闘った(とされる)人々にとって、隔離政策はどのように映っていたのだろうか。「戦後民主主義」とは、誰にとっての、誰のためのものだったのか。また勉強したい。