『アメリカの保守とリベラル』を読了。保守とは/リベラルとは何か?の問いに米国1960~90年代初頭の文脈から論じた本。保守対リベラルの対立が顕在化するのは1960年代半ばからとされ、1960年代の権利運動の対抗としての保守勢力を生み出していく過程とも読める気がした。
リベラル派、保守派の内側の勢力図や変化にも詳しく勉強になる。例えば保守派は、ウォールストリート保守派、オールドライト、ニューライト、キリスト教ニューライト、新保守主義など。レーガン政権への保守派の戸惑い、ブッシュ政権の湾岸戦争時の分裂化など、保守派が多様化する過程も学べる。
印象的なのは、ネオリベラルに対するやや肯定的な評価がなされる点。従来のリベラルの欠点を克服し、より建設的な政策提案を試みる立場として示され、クリントン大統領の登場もその系譜と読める。保守かリベラルか、大きな政府か小さな政府かではなく、その調合方法の論点があるべきという話も繋がる。
保守とは?リベラルとは?の議論に、アメリカ革命、フランス革命、ロシア革命の違いをどう見るかなど、歴史認識が絡まる過程も味わい深い。保守/リベラルの対立が文化から経済へと主戦場を移し、家族の価値観にも踏み込むと穏健派が阻害される可能性があるなど、保守派内での葛藤が印象に残った。