読書メモ

遠藤正敬(2024)『戸籍と国籍の近現代史【第3版】――民族・血統・日本人』明石書店.

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『戸籍と国籍の近現代史【第3版】』を読了。こういう内容こそ、日本のシティズンシップ教育で扱うべきなんだと思う。なぜ私たちは、戸籍の身分登録を必要とされ、個人の登録だけではダメなのか。マイナンバーが普及したら、戸籍制度は必要か?などの問いを促してくれる本。

戸籍が単に身分登録の問題に留まらず、近代日本のネーション的な統合装置となり、外国人/日本人の線引きをする排外性と同化を強いる権力性も持つ。その内実は、現代の重国籍、同性婚、夫婦別姓、マイナンバー、外国人管理制度、無国籍などの論点と直結する。家族とは何なのかと読者に突き付けてくる。

印象に残ったのは、戸籍制度が、「家」の一体性を、同じ戸籍・氏という書面上・形式的な条件によって判断している点。勿論そこに排除性はあり、多くの不幸も招いてきたが、その形式面の徹底が、結果として「日本人」や「家」の境界の曖昧化や、実態の多様化を生み出した側面も確認できた。

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