『新教科誕生の軌跡』を読了。様々な反発もありつつも、新教科が誕生する過程を紹介した本。印象に残るのは、各方面の関係者(研究者、学校関係者、行政関係者など)を巻き込んだ体制作り。背景には、46答申からの影響や、昭和50年代の中教審答申での挑戦と失敗、教訓がある。
新教科を生み出す際の研究開発校の役割、普及定着を狙う教科書の役割や各県の推進校の存在。過去含め、合科カリキュラムは理念はいいが実施・運営するには様々な戦略や仕組みが必要だと再認識する。インタビューによる論考が多く、この分野に詳しくない私には面白い話がいくつもあった。例えば、理科、社会科以外にも総合談義が省内で様々にあったこと、戦前の総合学習論議の中心は理科だったことなど。低学年の教科統合を促す語りが、中等教育の系統化と対比される場面もあったが、そこを今目線でどう見るか。あと成立史の良いところが注目されており、個人的には、うまくいかなさも知りたい気はした。