読書メモ

伊東亮三(1984)『公民教科書を活用したわかる授業の創造』明治図書.

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https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-426902-8

『公民教科書を活用したわかる授業の創造』を読了。優れた教師は教科書を利用しないというやや矛盾した状況。時折起こる教科書内容批判は、そもそも教科書の隅々まで教えると思っているのか。教科書は読めばわかるのか。などの問題意識に共感をそそられる。

教科書の歴史的分析では、(戦前含め)熟読する読み物としての教科書観は根強いことや、何を書くかが論点でとなりがちで「どう使うか」は軽視されてきたこと、「教科書内容は全て正しい」「全て教えれるべきという、日本人に伝統的な教科書観」が指摘されている。

具体的な教科書記述の分析では、抽象的な用語が並びがちな公民教科書の性格や、結論から論証プロセスまで書いている記述の問題点を指摘。教科書に取り上げられている図表、事例をいかに活用するか、「簡潔すぎて不十分」な記述を理解できるようにいかに事例や資料を準備するか、など事例が説明される。

後半の授業例では、記述の抽象度を逆手にとって、具体事例で考えていく授業例や、複数の教科書を比較参照している授業例など印象に残る。ただ、結局教科書では足りないとして学校図書館の充実を訴えるなど、教師の教材研究魂を垣間見る場面も。教科書活用をした思考テスト開発の重要性の話も共感した。

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