『「和食」って何?』を読了。ユネスコ無形文化遺産に登録された和食。そもそも和食って何なんだと再考させてくれる本。現代社会に揉まれる一個人として、結構悩まされる本だった。日本の食の歴史も様々な角度からの説明があり面白い。明治期まで肉料理をしない中での様々な工夫。
懐石料理をふくめ、原型が作られる室町時代で、大豆を含めた発酵食材の発展が食文化への影響が大きい。あと、関西、江戸の関係が面白い(例:「くだらない」の元々の意味など)。明治以降は、世代によって料理の近代化への反応が異なり、最初の世代の反発はあるが、その後の適応は早い印象を持った。
加工食品や飲食産業の変化を含め、食文化が、国際関係、テクノロジー、労働観、キャリア意識など様々な影響を受け変化し続けているのがわかる。第二章は、著者の当事者的な経験を親と2世代で描く。やや都市目線が強いのが地方出身者としては若干モヤつくが、、日本各地の食の多様性にも興味が湧いた。
世代論、ジェンダー論、家族論が、本書の説明の背後に垣間見える。著者が推測するように、和食が家父長制社会を象徴しているという話もわかる。と同時に、旬の野菜、地域の食材、気候や風土との相性から培われる食文化の意義や、日本社会の民主化と食の近代化(西洋化)の関係をどう見るか。悩ましい。