『これからの質的研究法』を読了。学校に関わる、授業、カリキュラム、学級集団、学校文化、教師の仕事など、様々な質的研究のアプローチが紹介されてる。談話分析、会話分析、ナラティブ分析に関して、発話や語りを、文脈の全体性を保持しながら解釈し、状況を記述する、と説明がされていたが、歴史研究との親和性を再認識する。
最初におおまかな問いがありつつも、フィールドに入ってから問いを立てたり、問いが更新される例が多かった。コード化、カテゴリー化が、研究者の言葉への置き換えでもある、という話は理解しやすい。発話分析のプロセスの示し方が具体的で、イメージを掴みやすい。
第1章で、授業実践者としての分析の客観性を高めるために、冷却期間をとることが有効となる、というという話を読みながら、質的研究における客観性と当事者性との兼ね合いを考えさせられた。複数のデータを収集、分析している例も多い。学校組織の調査がその典型例。全体として、単発的な調査ではなく、実践の文脈を把握するために、ひと手間ふた手間かけて、じっくりと観察・調査・分析していること(時間と手間がかかっていること)が推察される事例が多かった。そのテンポ感というか、じっくり行く感じに、とても惹かれる。