読書メモ

加野佑弥(2024)『大学における能動的シティズンシップ教育の導入: 社会/政治参加へのセルフ・エフィカシー』法律文化社.

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『大学における能動的シティズンシップ教育の導入』を読了。実践、政策、国際比較、質的研究など幅広くなされている。特に後半の質的研究で被調査者である学生の分析がなされる際に、変化した点、しなかった点、葛藤など非常に具体的で、こういう知見の蓄積は重要だと感じた。

ボランティアの参加の有無ではなく、参加の満足度がセルフ・エフィカシー(自己効力感)と関連が深いという点や、社会構造の複雑さへの認識や将来への期待感がセルフ・エフィカシーに関連する点などかなり示唆的。日本だと専門家任せの意識が高いとセルフ・エフィカシーがむしろ高まるのが、意外でもあり面白かった。

一番印象に残るのは、社会構造理解の難しさ。講義的な知識だけでは、現場での参加に関わるアクターは見えず、問題自体に気づけない。だからこそ、リフレクションやインストラクターの存在が重要という指摘は分かる。同時に、戦略的に社会構造理解を促す方法やカリキュラムの視点も大切になるのだろう。

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