飯田高他編著『世の中を知る、考える、変えていく』を読了。高校生向けに、テーマ別(「環境」「貧困」「テクノロジー」「ジェンダー」)で、社会科学の諸学問の関心とアプローチを述べる構成が面白い。経済学と社会学の対比が際立っているように感じた。参考文献も良い感じ。
個人的には、環境に対するアプローチの違いが一番面白かった。排出権取引の合理性を説明する経済学、協調意欲を削がない形での合意形成をめざす政治学、社会運動の当事者と支援する市民との軋轢を乗り越える方法を模索する社会学、国家や人びとの行動に変化を促すルールの在り方を模索する法学など。
各学問で重視する前提や論理の違いのようなものも感じた。仮に社会科に引きつけて考えた時、特定の社会問題を「ごった煮」的に分析すると、各領域の「強み」が失われる懸念があるのだろうか。特定の学問では良いとされる選択が生み出しうる悪影響を吟味する上でも、学問間での比較は重要だと感じた。