『ヤマ場をおさえる単元設計と評価課題・評価問題 中学校社会 』を再読了し、学生と意見交換などした。前提として、この本は三観点の観点別評価に真正面から向き合い、一番悩ましいであろうテスト問題を作っている点で、個人的には(他より)抜群に工夫されてると思う。
個人的には、思考判断表現と、主体的に取り組む学習の態度の作問に興味惹かれた。私の印象では、思考系は、複数の資料・情報を関連付けて推測したり、複数の知識を関連付けて答える問題が多い。態度系は、答えが多様・個性的に書けそうな問題や、「なぜ」を沢山出させるような問題が多い気がした。
更に論争的な社会問題を扱う際には、思考系の問題として、より分析的・客観的な捉えをさせる問題が多く、態度系の問題として、生徒自身の価値判断や意思決定を促す(賛否を聞いたり、「べきか」を問うような)問題が複数見られた。
いずれも、テスト作りの具体的なヒントになると感じた。ただ、思考系の問題が授業の知識の復習にならないようにするには相当素材選びが重要になりそう。また、態度系の問題は、どこまで書くべきかをそこまで明示されていないので、日頃から記述・論述の練習や積み重ねがあっての作問だと思った。
また、石井先生の「できる」「分かる」「使える」のレベルの話を念頭に置くと、出てくる思考系の問題の多くは、分かるレベルに収まっている気がして、三観点の思考系の問題を体現しているかというとやや納得しづらかった。勿論、テストとパフォーマンスを併用するから話はもっと複雑だと思う。
社会問題を扱うテスト例として、分析的な問題を思考系、価値判断に関わる問題を態度系とさっぱり分けてしまってよいかという点は、何か腑に落ちない。今後の私の宿題。どちらといえば「なぜ」を問う態度系の発想は、米田氏の本と通底しており、納得しやすかった。
いずれにしても、日頃の授業があって、その深い理解を吟味するために、別の素材でテスト問題を作問するであろうことは伝わってきた。AとBの区別を曖昧にしないためには、日頃からの指導の蓄積が前提になるだろうとも思う。勉強になったし、これだけ観点別評価で具体物を示している点は素晴らしいと思う。