読書メモ

野中郁次郎・紺野登(1999)『知識経営のすすめ: ナレッジマネジメントとその時代』ちくま新書.

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野中郁次郎・紺野登『知識経営のすすめ』を読了。本書の出版後の情報技術の進展もあり、今の最新情報ではないのかもしれないが、勉強になった。教育畑の自分にとって「知識とは何か」「個と集団の関係」あたりに絶えず興味惹かれた。

知識の中に「形式知」と「暗黙知」があり、両者の相互作用を刺激する場や環境、組織のあり方を論じることに主眼があると理解した。暗黙知と形式知の連動性もだが、知識を正当化された信念としたり、対話を通した「拡張」の議論や螺旋的プロセスの話なども、プラグマティックなものを感じた。

情報と知識の違いの話は、様々に通じる話なのだろう。知識として獲得するには文脈のギャップを埋める必要があり、そのための「場」のデザインが重要になる。場の使い分けや組織分析をする際の指標や枠組みなども、分類的に捉える思考の強みを感じた。形式知ありきの発想への強い批判と読め、身体性を含めた対話的な学びの議論とも関連があるのだろう。

一方で効率主義的な視点も各所に埋め込まれている気がして、とはいえ、旧来的な効率主義とは大きく異なる両義性も感じ、そこら辺を学校教育文脈で捉える際にどう考えるかは自分の宿題になった。(例えば、創造的組織に求められる自由で創造的なマインドと、「知の規範」としての「しつけ」の両立等。)

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