読書メモ

中西新太郎(2019)『若者保守化のリアル:「普通がいい」というラディカルな夢』花伝社.

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中西新太郎『若者保守化のリアル』を読了。本書における若者の保守化とは、「右傾化」のことではない。右肩下がりで理不尽な現代社会に対して、大きな期待をせず、今の生活の現状維持を望む考え方を指す。「生のミニマリズム(最小限主義)」(p.29.)の表現は象徴的だった。

本書は「若者は政治への関心がない」という言説を徹底して批判する。そうではなく、むしろ1970年代以降の、若者を非政治化してきた日本の社会システムこそ目を向けるべきと。今の若者も「運動基盤は間違いなく拡大しているが、構造的な制約のために運動の回路が狭くなっていく」(p.222.)状況下にある。

本書の中で一番タイトルに近いのは1章と4章かと思う。サブカル/文学的な作品分析の方法も興味深かった。著者が言う中産階級モデルを回避する上でも、「無力や弱さを自認/表出する若者たちの政治的身体」のポテンシャルという議論に、私自身は興味惹かれた。今後も考えていきたい。

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