読書メモ

メイ・M・ナイ著:小田悠生訳(2021)『「移民の国アメリカ」の境界:歴史のなかのシティズンシップ・人種・ナショナリズム』白水社.

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メイ・M・ナイ『「移民の国アメリカ」の境界』を読了。アジア、メキシコ、フィリピン等からの移民に注目し、合法/非合法の境界や、市民/非市民の境界が揺れ動く様子を詳述する。「文化的シティズンシップ」の話や、市民権とシティズンシップの使い分けなど勉強になる。

非合法と言われても、そういった移民の人びとによってアメリカ国内の労働環境が大きく変容していく過程も見て取れ、国民・外国人の二分法では理解できない動的な構図を実感した。シティズンシップの否定に繋がる議論が起こる際、特定の人種/エスニシティへの印象操作が頻出するのを再確認した。

あと、法的規制や軍事増強をするだけでは、移民流入の根本解決にならない(むしろ規制を強めると非合法移民が増える)ことを示している点が一番強烈だった。国境に対するイメージが変わる本だった。

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